サンがキュキュキュ

 この前友達の結婚式に行ってきた。式が終わり高校時代の友人キョ・チ氏と話す。式に出席していなかった友人焼肉氏の話をする。その中でキョ氏が焼肉氏をディスった。「この前、焼肉氏の家に行きたいって言ったら、彼氏がそういうの嫌がるからダメって言われた。なんかそういうこと言う彼氏嫌いなんだよね。2人だけで生きてる訳じゃないんだしさ…つか彼氏を家から追い出せよ!それくらい言えるだろ!」たしかに!ほんとそう思う!とか言いながら私はウンウンと頷き、でも少しだけキョ氏の横暴さにびびる。

 帰り道、2人だけで生きている訳じゃないんだしさ…と言ったキョ氏の表情を何度かリフレインする。自粛(気持ちは緩くなってきてしまっているが)の影響で、一人暮らしの私は誰とも会わずに1日を終えることがしばしばある。1人でいることは苦じゃないし、むしろ周りには「1人さいこう!大好き!」みたいに言ってしまうけど、キョ氏の言葉を聞いてふと気がついた。

もしかしたら厳密には私は「1人」ではないのでは?

 第二の人格があるとか、アルコール化するとヤバイとか、心霊を信じているとか、そう言うことではない。もちろん物理的には部屋の中には自分の身体しかなく、「1人」だ。

 しかし、1人でいる時にひとりとして平然としているには、他者を想像する必要があるのではないか、と思った。

 私が1人が好きでいられるのは、裏を返せば家族がいることに思いを馳せられるからで、バンドについて考え闘志を燃やすことができるからで、友達が何をしているのか思いを巡らすことができるからなのでは…?

仮にこういうのが全部なくなったらどうなる?考えたら心の内側に冷たい水が満たされるように息苦しかったのでやめた。本当の孤独は厳しい。

 私は愕然とした。今後一切大腕を振って「一人サイコー!」と言うのはやめよう。私の平穏の背後には人の存在があるのだから。言うなら「一人サイコー!って言わせてもらってます!あざす!」の謙虚さが欲しい。そう言う訳で突然周りの全ての人にありがとうと言って回りたくなってきたけど、物理的にこの部屋には私しかいないので、寝返りを一回うって寝ます。