メメントモリ

 死が怖い。祖父が亡くなって私の人生の一部が欠落したと思った。こうやってどんどん人生に穴が空いていって、もう落ちる地面がないですよとなった時にわたしは死ぬのだろうか。私は臆病だから、誰かと離れ離れになるのは苦しくて耐えられないから、それならばはじめからなるべく遠くに居ようと思ってしまう。どんな人間もこの死を平等に経験して打ちのめされて、でも生活を続けているということがおかしい。もはや世界のつくりとして気が狂っているとしか言いようがない。そもそも今も戦争や病気で私よりも死を実感している方がいて、その人達の計り知れない恐怖を想像する(矛盾してるけど)と、そこには感情が平になった諦めがあって辛くなった。

 慰めはいらないけど、むなしくて泣いてる。

 地震もコロナも突然やってきて私たちの生活を分断した。予測不可能なものに対して今私ができることはそんな事態になっても周りの人が安息でありますようにとお願いごとをするしかない、それが歯痒い。私から何も奪わないでくれ。

 死について考えること以外は全て気晴らしだみたいなことをパスカルが言っていて、大学の授業で聞いてからそのことがずっと頭に引っかかっている。